Adsum創設者ピート・マクニーへのスペシャルインタビュー
Adsum創設者ピート・マクニーへのスペシャルインタビュー
今季23SSで初コラボとなったGramicci×Adsum
そこでAdsum創設者ピート・マクニーへのスペシャルインタビューを実施しました。
商品についてや感覚についてなど様々な貴重なお話をいただいだいたので是非ご覧ください。
2015年創業以来、Adsumはスポーツウェアとアウトドアギアの境目を探り、技術的および機能的なディテールと快適でカジュアルな味わいを組み合わせた服作りを励んでいます。ブルックリンに拠点を置き、アメリカ東海岸 (およびそれに伴う天候)の影響を強く受けている彼らのギアは、アーバンとアウトドア両方のシーンで活躍し、ファンたちに愛用されています。
今シーズン、Adsumは私たちとタッグを組み、普段着をイメージした限定コレクションを取り組みました。Gramicciの豊富なアーカイブからヒントを得て、昔のブランドビジュアルを使用したフルプリント柄のクライミングパンツからリバーシブルバケットハットまでカテゴリーに限らず幅広いアイテムを作りました。今回のコレクション発表を機に、私たちは創設者のピート・マクニーにブランド立ち上げからGramicciとの協業に至るまでの様々な秘話を聞いてみました…
2015年にAdsumをスタートする前にもしばらく服の世界で働いていたと思いますが、自分で服を作りたいと思ったきっかけは何でしたか?
私は成長する方法を探していました。当時一緒に働いていた人々がやっていたこと、つまりニューヨークで服を作ることに興味がありました。そして自分の手を動かすことに試してみたかったのです。自分が思う通りのデザインをもとにね。最初はサイドプロジェクトから、次第に「よし、服を作って、それを売る方法を考えよう」というものになりました。それから早くも日本で最初の卸店舗ができ、ブランドとしてしっかり続けたほうがいいと思いました。それはある種偶然なできことで、「今からブランドを立ち上げるぞ」という気持ちは決してなかったのです。
Adsumを始めたときに、他と違ったやり方でやろうと思うことは何でしょうか?
ばかげているように聞こえるかもしれませんが、私が興味を持った服は、一般的に製造が難しい服で、例えばテックなアウトドアウェアのようなダウンジャケットやテープシームレインジャケットの作り方を考えたかったのです。心の奥底では、自分が着たい服を作るという情熱的なプロジェクトでした。そして時代を超越したもの、つまり5年後も今日と同じように意味のあるものにしたかったのです。
確かにAdsumの成長はとても自然で、芯のある進化を感じます。新しいデザインを加えながら、ズボンやシャツなど、初期から存在しているコアなものを保ちつつありますね。
私は今でも当時のものを着ていますそれを通して何を表現したいのかは言葉にし難いのですが、そうは言っても、今シーズンで作るものは以前のシーズンより進化させる気持ちは強いし、大事にしているポイントです。
新たな基準を設定し、それを毎シーズンに引き上げる試みは常にしているつもりです。そこには(ブランドをやる上での)楽しさがあると思います。
デザインは、ブランドの進化につれて変化し、アップデートしていくものだと思います。例えば、はじめは最も重いウェイトでスウェットシャツを作りたかったのに対して、開発と生産を重ね、最初に思ったのと異なる場所にたどり着き、ミッドウェイトでより着やすいものにすることもあります。また、オックスフォードシャツを見ると、以前は布がどれほど密度が高いか、またはパリッとしているかにこだわったばかりでしたが、実はそれを作るには、数え切れないほど優秀な素材が存在することを知ります。それこそは進化の印であり、自分たちが知っていると思うことにとらわれず、心を開くことが大事にしています。
普段はどこから一番 インスピレーションを得ていますか?
それはシンプル、スポーツとアウトドアです。スポーツは私の人生の大事なテーマで、サッカー、ラグビー、テニス、ホッケーをして育ったので、スポーツに伴う洋服とギアは私に大きく影響を与えました。そして、アウトドアも私が大事にしているテーマで、この2つがAdsumの源だと思います。服について考えるときはいつも、スポーツとアウトドアのことが浮かんでいます。
しかし、それ以外にもあらゆるところからインスピレーションを得ているかもしれません。拠点はブルックリンなので、日々面白い人たちに出会えます。アートやスポーツ、フードなど様々なことをやる興味深い人がたくさんいますので、結局彼らからも多くのインスピレーションをもらっています。
Adsumの洋服は、スポーツウェアやアウトドアウェアというカテゴリーにして、とてもリラックスしたフィットを持つような印象があります。しかしそうでありながら、ランニングや山登りにも着られる本格的なアイテムも多いですね。
カジュアルさを常に大事にしています。洋服製造の本質を見抜き、例えばジャケットを作るときに、サイジングのことや、過剰なデザインはされているかを見ます。それを普段着としての合理性を構築しながら、もう少しカジュアルな方向に持っていきます。物事が過剰にデザインされ、構築されることはよくあると思います。
生地について考える場合「20k ウォータプルーフ」や「最高の防水機能」を訴える反面、実際にはそこまでの高い防水機能が必要とされているのでしょうか?その基準を少し下がることによって、生地が軽くなったり、工場の縫製が楽になったりすることもあり、「レスイズモア」的な考え方はデザインにおいてとても大事なポイントだと思います。
もちろん、私たちは最高の生地と最高の工場とお仕事したいと思っています。一方、消費者に親しみやすいものを作りたいとも思っています。こだわりに行き過ぎると、お客様のところに届きにくくなったりすることもあり、そのバンランスを常に心がけています。
今回Gramicciとのコラボレーションはどのように実現しましたか?そしてコラボアイテムはどのようなプロセスで作られたのでしょうか?
ここまではどちらと言えば、Adsumデザインの控えめの部分を話しましたが、今回Gramicciとのコラボレーションでは、逆にカラーパレットやビジュアルレファレンスを大胆に挑んでみました。Gramicciが私たちとのコラボに興味を持ってくださることに驚いて、本当に素敵な機会をいただきました。Gramicciのブランドアーカイブから何枚かの古い広告ビジュアルを見つかり、それにインスパイアされ、コレクションをデザインしました。
カーゴパンツはだぶだぶすぎず、スリムすぎず、機能的でありながら着やすさを重視し、日常生活のシーンに適するパンツになります。セージグリーンと白黒オーバープリントの2カラーで、パンチの効いたデザインではありますが、少し離れてパッとみたら、カモプリントのようにも見えます。
それに、私が最も気になるライトウェイトタスランショーツには、Adsumのアートディレクターであるクリスチャンがデザインしたマウンテンロゴが配り、Gramicciのアーカイブグラフィックからインスパイアされたデザインになります。リバーシブルチューリップハットも私たちが今までやったことのない試みで、ブリムにワイヤーがつけているので、丸めて後ろのポケットに押し込むことができます。また、ピグメント染めのTシャツとフルジップのスウェットシャツを加え、今回のコレクションには私たちのGramicci愛が溢れるアイテムラインが揃えていると思います。
そして今回のビジュアルに関しては、Gramicciのクライミング要素とニューヨーク市を結びつける何かを表現したかったのです。ニューヨーク、あるいはマンハッタンとクライミングの接点を考えてみたら、窓拭きの作業者たちが頭に浮かび、ハーネスをつけて高層ビルの外で作業するイメージでビジュアルを制作しました。
Gramicciとその他の西海岸発祥のブランドたちは、なぜか独特な雰囲気を持っていると思います。カリフォルニアをベースにしたギアの特有なバイブスがあるというか…
ええ、私もずっと前から西海岸のライフスタイルに惹かれていました。子供の頃からスケートボードをしていたので、西海岸で何が起こっているのかをいつも気になっていました。明らかに独特な環境や気候はアウトドア用の洋服デザインにも反映されていると思います。そしてロッククライミングはそもそも反抗的なDNAを持っていて、集中と激しさの性質があり、LL Beanやフィッシングブランドとは全く異なる雰囲気になりますね。
Gramicciとのコラボアイテムや、通常のAdsumのアイテムを見ると、ヴィンテージにインスパイアされるポイントやディテールがたくさん見えますが、あえて直接にヴィンテージのリメークはしていないことは、新しいことを創ることにこだわりがあるからでしょうか?
ゼロから作るものもありますが、基本的には明確なレファレンスをもとに、「このオリジナルアイテムをどのように改良できるのか」を考えて洋服を作っていくことが多いです。このプロセスが私にとって魅力的で、洋服デザインを好きになる一つの理由でもあります。
古いデザインから色やポケットを抽出して最新のものにするのはサンプリングのようなものですか?
ええ、ポケットの位置やサイズ、ウェルトの形をいじることは一番悩ましいところであり、楽しいところでもあります。元より改良されたものに辿り着く時もあれば、全く新たなものが出来上がる時もあります。私たちはその試みはいつも行っています。
誰かの曲調や歌の書き方を真似し作られた曲は嫌いですが、時にはある曲がその他の曲にどこかに照らし合わせる部分があるから、好きになることもあります。洋服のことも同じように思います。私たちのデザインを見るときに、愛情を持って、感謝の気持ちで見てくださる人々が増えることを願っています。別にポケットのカタチやカラーレファレンスの特許を持っているわけではないですが、そのディテールを大事にして、消費者に届くことを常に心がけています。
それは間違いなく消費者たちに伝わっていると思います。少し話は変わりますが、Adsumにとって、ニューヨークの大切さは何でしょうか?説明するのは難しいですが、Adsumの洋服はとても東海岸っぽさがあると思います。
ニューヨークでビジネスできることはとてもラッキーだと思います。本当に毎日様々なことが起こっていますし、当たり前のように思ってしまうくらいかっこいいものが常に触れるありがたい環境です。もちろん大好きな面もそうでもない面もありますが、おそらく世界中で暮らしに最高の都市の一つに言えると思います。ニューヨークの季節要素もAdsumの大事なDNAの一つで、厳しい冬と暑い夏のそれぞれに対応するアイテムを作りたいと思っています。
ニューヨークにはアウトドアスポットがさほど多くないと思いますが、素敵な景色を求めて都市を離れる時には、いつもどこに行っていますか?
渋滞がいつもひどいかもしれませんが、ロング・アイランドには美しいビーチがあり、アップステート・ニューヨークやコネチカット州、ニュージャージ州には綺麗な公園もあります。もっと具体的には、アディロンダック山地やバーモント州が私のお気に入りで、両方ともニューヨークから遠く離れていますが、唯一無二のスポットなのでおすすめです。
どのくらい遠いでしょうか?
バーモント州は車で4時間くらい離れています。もう少し近い方がよければ、ビーバー・キルもおすすめです。ニューヨークからわずか2時間で、フィッシングスポットとしても有名です。トロントで生まれ育った私にとって、地元では2時間のドライブは、森だらけでほぼ何も変わりませんが、ニューヨークから2時間のドライブなら、全くの異世界になります。熊もその他の野生動物も魚も生息する大自然が目の前に広がります。
今では多くの人がアウトドアの重要性に気づき、ハイキングや登山、ライディングなどする人が増えているように感じます。ニューヨークでもそれを感じますか?
ええ、間違いなく私の周りの友人には、街から出る人が増えています。そのムーブメントは至るところで起こっていると思います。10年前には、私もニューヨークの“中”のことばっかり注目していて、しかし時代が変わり、今は都市からスペースや距離をとることの楽しさを感じています。私以外にも多くの人々がそう感じていると思います。
これで最後の質問になりますが、皆さんに何か伝えたいことがありますか?
毎日を楽しみながら、新たな試みをしてみてください!ただ楽しんでみて、考えすぎないように。
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