Gramicci by F/CE.
F/CE.ディレクター山根敏史にインタビュー
1982年、ロッククライマー ”マイク・グラハム氏” によりカリフォルニアで誕生した「GRAMICCI (グラミチ )」。
クライミングを快適に楽しむ為のウェアやギアの展開を中心に、徐々にその知名度を広げていき、今やアウトドアからストリートまで世界中のファッションフリークから支持されるブランドとなりました。
そんなグラミチも今年は新たなクリエイティブディレクターが就任し、ブランドとして一つの転機を迎えています。
温故知新をテーマに行われる様々な取り組みの中でも、注目すべきは9/17(土)に新たにリリースされるカプセルコレクション“Gramicci by F/CE.”の存在でしょう
従来のグラミチが持つ面構えとは明らかに異なる、未知なる力を秘めたこのコレクション。
その魅力を紐解くべく、デザインを監修したF/CE.デザイナー山根敏史氏にお話を伺いました。
_____早速ですが、Gramicci by F/CE.のコレクションテーマについて教えてください
山根氏 : 「今回のコレクションではグラミチがこれまで築いてきた歴史やアイデンティティに敬意を払いながらも、F/CE.と名前が入る以上、ある程度F/CE.のストーリーに寄せたモノ作りを意識しました。
なので、F/CE.でもテーマに掲げている”Less is more”という考え方がこのコレクションの根幹にもあります。
Less is moreは19世紀のドイツの建築術から生まれた哲学で、高水準の機能性を確保しつつ、シンプルでミニマルなデザインに重点を置く方法です。
その他にも、”無駄を省く”のような意味だったり、”建築の作り方”、”洋服の着方”なんかにも適用される言葉なので、色んな解釈があるのですが、F/CE.にとってのLess is moreは、スタイルや優れたデザインを犠牲にすることなく、生活、空間、機能、感覚の豊かさを提供する方法と解釈しています。」
「僕たちはバウハウスを始めとして、ドイツのデザインであったり、その哲学、考え方や思考、政治的な背景、などから大きな影響を受けています。
例えば東ドイツの社会主義では、少し曇りがかったような緑や、オレンジと黄色の中間色など、そういった曖昧な色調のものが多く生まれた歴史があって、そんな時代に生まれたプロダクトは、デザインのアーカイブになっています。
グラミチはアメリカを背景に持ったカジュアルブランドですが、こちら側に寄せて、形やシルエット、生地だったりにテクニカルな要素を取り入れることで、アウトドアなファンクションへ寄せて行きました。
例えば音楽で言うとベートーベンみたいなクラシックから、テクノ、4つ打ちまで、複合的な要素があるけど、すごくインダストリアルな考え方でアプローチされている。そういったことをGramicci by F/CE.では表現しています。」
_____グラミチの良さをどう紐解き、引き出そうと考えましたか?
「まず、絶対に”アウトドア”というのはボトムラインにあります。今回で言うと難燃でリサイクルの素材を中心に使ってるのですが、自分の中では”難燃”ってすごくアウトドアな素材として捉えていて、更にその色のトーンだったり、形・サイズ感だったりを、自分の中ではアメリカンでストリートに仕上げています。
このようにグラミチが持っているアメリカらしさを僕なりに解釈しながら、様々な角度から要素を切り取り、表現する。
デザインする時は視覚的に足したり、引いたりすることが多いと思うんですけど、僕の場合は見た目だけじゃなくて、考え方もその対象となっています。
Gramicci by F/CE.はお互いの良いところを出し合って、1つずつ出したら、それが5ぐらいになるようなアプローチを意識しました。」
_____では、実際のアイテムにはどのようなアプローチが施されているのか、についてもお伺いします。まず、コレクションの中でも特に存在感を放っていたこのコートについて教えていただけますか?
「これはベストだけでも、コートだけでも着れる3way仕様なのですが、使われている生地は先ほどお話したリサイクルで作られた難燃性のオリジナルテキスタイルです。
街にはもちろん、キャンプもいけるし、フィッシングもいける。でも環境にも配慮されている、というところがあって、その考え方がまさにLess is moreを象徴してると思います。」
____このトップスも独特な佇まいですよね。
「Gramicci by F/CE. が丸首スウェットを作るとこうなる、という企画です。クルーネックのスウェットってストレートに作ってしまうとアメリカっぽくなり過ぎるじゃないですか。
これは前にリブがあって、後ろにカットが入ってたり、メキシカンパーカーとカレッジスウェットの間のようなデザインを目指しました。襟もvintageのスウェットなんかに見られる作りにしてたりとか。
アメリカっぽいアイテムをテーマに要素を置き換えて作るとこうなる、というアプローチです。」
「結構オーバーサイズなんですが、動きやすいように袖の作りを工夫したりとか、吸水速乾で扱いやすく、冬っぽい見た目をしてるのですが、春先には1枚で羽織れるくらいのアイテムなので、海外に行く時なんかは必ず持っていくようにしています。」
____ありがとうございます。一方でパンツはグラミチらしさを色濃く残しているように感じました。
「自分の中にルールがあって、パンツのシルエットは全部グラミチのベースのままにしてます。丈感やデザインは少しだけいじるけど、基本的にはそのままを踏襲。
グラミチはどちらかと言うとパンツのイメージが強いブランドだと思うので、上物はF/CE.の色を敢えて出していく、と言うバランスで考えています。
とはえいウェストのベルトはF/CE.で使ってるオリジナルのモノを使っていたり、ウェストやワタリの絞り具合を変える為にダーツを取ったり、マイナーチェンジはしています。」
____いよいよコレクションがローンチとなります。こんな人に届いて欲しいという思いはありますか?
「街にいるファッションフリークな人たちには勿論ですが、キャンパーやクライマー、アスリートまで本格的なアウトドアシーンで過ごす人たちにも手に取ってもらいたいですね。その為のスペックとしては十分だと思います。」
別注やコラボレーション。
今や業界でも当たり前となったこれらの取り組みですが、手段が目的化されてしまっているケースも多いのが実情です。
山根氏のように丁寧に相対するブランドの魅力を紐解き、咀嚼し、自身の哲学をアウトプットに乗せられるような存在は稀有でしょう。
山根氏と会話する中で感じたデザインへの深い洞察、揺るがない芯、そして何より楽しそうに語るその姿が印象的でした。
出会うべくして出会い、その魅力を更に研ぎ澄ました両ブランドによるカプセルコレクション。
販売は以下にて行います。
9/17 12:00 予約販売開始
是非一度ご覧いただければ幸いです。